2008年11月15日土曜日

上山城から上杉神社へ

 Aさんに『刀匠 神林恒平展』のパンフレットを頂く。興味はあるが、果たして気軽に車で出かけられる所なのだろうか…?
 会場は山形の上山だそうで、上山といえば競馬場と温泉がパッと頭に浮かぶが、山形のどの辺かわからない。早速ネットで調べてみたところ、山形市の少し南で、距離にして大体90キロ位。大きな道を行けば然程難しくないようなので、行ってみることにする。

 朝10時に家を出発し、先ずは国包屋敷があった立町小学校前の仙台西道路から、愛子バイパス、作並街道と48号線を只管進む。空いても混んでもなく、ス ピードのあまり出ない道路状況で、紅葉を楽しみながらのんびりと行く。やがて開けてきたなと思ったらそこはOさんの故郷天童市。丁字路にぶつかった所で左 折し、13号線を南下する。そして簡単に上山市まで入ることが出来たのだが、上山城に到着するまでが大変だった。詳しい案内があまり無く、随分迷ってし まった。
 漸く『上山城』に到着し、先ずは近くにある月岡神社にお参りし、次に月岡公園から辺を眺める。
 上山城は4階建てで、1~3階が展示場、4階は展望台となっている。1階の第一展示場から始まり、エレベータで一気に4階の展望台へ。城から眺める上山 の風景を写真に撮りたかったが、カメラを持ってくるのを忘れてしまった。あとは階段を降りながら、3階の第二展示場、2階の第三展示場と上山の歴史を順に 追っていく。一階に戻り、最後は特別展示室の『刀匠 神林恒平展』である。今回の展示会は『山形県指定無形文化財保持者認定』を記念してのものらしい。先ずは氏の師匠である『宮入行平』の作品一口に始まり、 神林恒平氏の29口、計30口が三方と中央のショーケースに展示されていた。

・脇指 宮入行平作(裏)昭和五十二年八月日
・短刀 恒平彫同作(裏)平成十二年二月日
・刀 三省吾身上林恒平作(裏)昭和己未年春吉祥
・刀 以山形城古鉄長谷堂住人恒平作(裏)平成十年十一月吉日
・短刀 恒平作(裏)平成十八年三月日
・短刀 恒平作(裏)平成十一年五月日
・刀 長谷堂住人上林恒平作(裏)平成六戌年春吉日
・刀 長谷堂住人恒平作(裏)平成七年春吉日
・脇指 恒平彫同作(裏)平成十一年五月日
・脇指 恒平作(裏)平成十二年春
・刀 長谷堂住人恒平作(裏)平成十三年八月吉日
・刀 長谷堂住恒平作(裏)平成十七年八月日
・脇指 於霞城恒平作(裏)守護己諒平成十二年十一月廿二日
・短刀 備州長船住景光(棟)学景光恒平作(裏)元亨三年三月日
・刀 長谷堂住恒平作(裏)平成十八年三月日
・刀 長谷堂住恒平作(裏)平成十九年二月日
・太刀 長谷堂住恒平作(裏)平成廿戌子天六月十七吉日
・刀 長谷堂住人上林恒平作(裏)平成十九年八月日
・脇指 恒平彫同作(裏)應揚妻家需平成十六年三月日
・脇指 恒平彫同作(棟)平成十七年五月吉日(裏)(個人名)種徳百年計
・太刀 於長谷堂住恒巌作(裏)平成十七年三月日

・短刀 恒平作(裏)平成七年八月日
・短刀 恒平作(裏)平成七年八月日
・短刀 恒平作(裏)平成七年八月日
・短刀 恒平彫同作(裏)平成十二年月二日
・短刀 (個人名)恒平作(裏)仙寿之平成十二二年十月日
・短刀 長谷堂住恒平作(裏)平成十五年正月仙寿之
・短刀 恒平彫同作(裏)平成十六年月弥生吉日
・短刀
・短刀 守護(個人名)恒平作(裏)平成十八年三月日

 城を出ると、時間はまだ午後1時前。帰るには少し早いので、米沢の『上杉神社』へ行ってみることにする。上杉神社には上杉謙信公、二代景勝公、直江兼続 公、十代鷹山公ら縁の品々が収蔵、展示されている『稽照殿』がある。『直江兼続』といえば、来年のNHK大河ドラマ『天地人』の主人公である。
 13号線を南下し、米沢市内には入れたが、肝心の上杉神社に辿り着くのに難儀した。神社は観光客で賑わっており、七五三の親子連れも目立っていた。社殿にお参りし、辺を散策した後、『稽照殿』へ。

・革製金箔置烏帽子形兜(伝謙信公所用)
・禡祭の剣
・色々威腹巻(謙信公所用)
・紫糸威伊予札五枚胴具足(景勝公所用) 
・勝色威胴具足(謙信公所用)
・紫糸威五枚胴具足
・紫糸威二枚胴具足(鷹山公所用)
・金小札浅葱糸威二枚胴具足(直江兼続所用)

 『色々威腹巻』の兜の前立は飯縄明神像が飾られており、謙信公の飯縄権現信仰を窺わせる。『飯縄』は『飯綱』とも書くそうで、刀鍛冶に『綱』の字がみられるのは宗教的なものからだろうか。備前には『安縄』という鍛冶もいた。どうも刀鍛冶と狐は無縁ではないのかもしれない。『紫糸威伊予札五枚胴具足』の兜の前立には雲上の日輪が象られており、その黄金の中に『摩利支尊天』、『毘沙門天王』、『日天大勝金剛』の神名を鋲で留めてあるそうだ。

・長巻 無銘 伝片山一文字 95.7㎝ 4.5㎝
・太刀 國宗(附)戒杖刀 78.2㎝ 5.4㎝
・大太刀 無銘 伝元重 110.3㎝ 4.9㎝

 無銘の長巻『伝片山一文字』は鎬造、庵棟、板目肌、小丁字。無銘の大太刀『伝元重』は鎬造、庵棟、板目肌、直刃調、丁字乱れ。
 そういえば『刀匠 神林恒平展』に『短刀(備州長船住景光 元亨三年三月日)』の写しがあったが、本物は謙信公の所用で、現在は『埼玉県立歴史と民俗の博物館』にあるそうだ。表に『秩父大菩薩』、裏に観音を表す梵字が彫られており、『黒漆小さ刀』の外装が附く。個人蔵で『岡山県立博物館』に謙信・景勝公所用の『号 山鳥毛』の太刀が寄託されているらしく、どちらも機会があれば見てみたい。

 すぐ側にある『米沢市上杉博物館』にも寄りたかったが、帰りは仙台までの距離113キロ走らなければならないので、今回は諦めることにする。次回は米沢をメインに、特別展でも狙って来てみよう。

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