前日になり急遽出発を決定、ネットや情報誌などで軽い下調べをし「国道4号線をひたすら走るだけだから大丈夫でしょ。一ノ関に入ってからはナビに頼ればいいし。出発は九時半頃でいいかな?」と安易に考え、準備終了。すでに頭の中は刀のことでいっぱい。
そして当日。ナビに目的地をセット。距離は丁度100キロでひたすら北上するだけの簡単な道のりだが、『到着予定時刻 13:00』を見て一瞬青ざめる。昼前には目的地に着き、厳美渓を見てから昼食、午後からゆっくり博物館を見学、時間が許せば平泉へGOなどと軽く考えていたのだが、どうもその余裕は無いらしい…。到着時刻はあくまで目安なのだから、鵜呑みにする必要はないのだが、今はお盆シーズン。渋滞は絶対あるものと 思って間違いない。何だかどんどん不安になってしまい、一分でも惜しいので、取りあえず出発。
実際車を走らせると、それほどひどい渋滞はなかっ た。片側一車線では思うようにスピードを出せないので少々焦ってしまったが、法定速度より遅いということ はほとんど無かった。何だかんだで岩手の県境に差し掛かる頃には、12時半頃まで目的地に到着する見通しが立ちホッと一安心。
ナビのおかげで12時過ぎに無事、一関市博物館へ到着。逸る気持ちをグッと抑え、先ずは厳美渓を見に行く。丁度お昼時だったので、次は『山のそば屋 須川』でざるそばをいただく。食べ終えてから、「大盛りでもよかったかな」と後悔。そしていよいよ一関市博物館へ。
刀は「舞草刀と刀剣」とテーマされた展示室の四方のショーケースに、13振の刀剣(太刀3振、刀5振、脇指2振、短刀1振、槍1振、薙刀1振)と4振の拵が見事に陳列されていた。
・刀 (額銘)建武 寶壽
・太刀 友安
・薙刀 無銘(舞草)
・太刀 寶壽
・短刀 寶壽
・刀 奥州仙䑓住國包 (二代)
・刀 一関士宗明
・十文字槍 一関士宗明造之
・脇指 明弘
・太刀 行光
・刀 備州長船祐定(ウラ)天正二年八月日
・脇指 武蔵大掾藤原是一
・刀 備前介藤原宗次 文久四年二月日
見事にショーアップされた刀剣はどれも素晴らしく、質・量共にとても見応えがあった。まったく仙台市博物館にも見習ってもらいたいものだ。ただ一点だけ残 念だったのは『初代国包』が展示されていなかったことだ。受付に問い合わせたところ「確かに初代は収蔵されているが、現在は展示していない」とのこと。必 ず展示されているという勝手な思い込みだったのだが、これにはガッカリしてしまった。日を改めるしかないようだ。残念で仕方がない。
『建武 宝寿』は太刀を大磨上したものか、中心に短冊銘がはめ込まれている。
時は流れ、あっという間に帰りの時間がきてしまった。二時間ほど粘ったが、それでも全然見飽きない。何としても『初代国包』を見ないと気が済まないし、『正恒』など未だ見ぬ刀があるので、また一関市博物館へ来ようと心に決めた。結局、平泉には行くことができなかった…。
たまたま切り抜いておいた河北新報の記事 |