2010年8月15日日曜日

終戦記念日の博物館巡り

 連休の後半、道路の空いている頃を見計らって恒例の東京刀剣ツアーへ。

 いつもは『東京国立博物館』と『刀剣博物館』の二ヶ所を訪れるパターンだが、今回はもう一ヶ所、見学地を追加する予定。
 最悪、Uターンラッシュは今日までかもしれないと覚悟はしていたが、特に渋滞に巻き込まれるようなことは殆どなかった。おかげで燃費効率の良い走りが出来た。





 栃木で車内へ急に闖入したスイッチョン。失礼、栃木ではケサカッカでしたか。東京まで連れて行こうかと思ったが、途中でいなくなってしまった。


 折角早めに上野に到着したのに、中々駐車場が見つからず、おまけに駐車場から博物館までの距離が遠くて相当タイムロスしてしまった。午前中に入館できるようにしたい…。




 漸く『東京国立博物館』へ辿り着き、さっさと入館し、早速『刀剣』コーナーへ。

・剣 無銘
・太刀 髙綱
・短刀 吉光(名物 厚藤四郎)
・太刀 包永
・短刀 備州長船住兼光
・太刀 雲生
・刀 (金象嵌銘)城和泉守所持 正宗磨上 本阿(花押) (名物 城和泉守正宗)
・短刀 則重
・太刀 備州長船盛光(ウラ)応永廿三年八月日
・刀 備前國住長船次郎左衛門尉勝光 同左京進宗光
・太刀 國廣
・刀 石堂運壽是一作(ウラ)嘉永六年八月日

 今回展示されていたのは切刃造の剣、古備前『高綱』、粟田口『平野藤四郎吉光』、手掻『平三郎包永』、景光の子『兼光』、宇廿『雲生』、相州『五郎入道 正宗』、越中『九郎三郎則重』、師光の子『修理亮盛光』、祐光の子『右京亮勝光・左京進宗光』、『堀川国広』、『七代石堂是一』など十二口。特に高綱は珍 しい。名物は『厚藤四郎』と『城和泉守正宗』。

 次は二階の『武士の装い』コーナー。

・黒漆銀銅蛭巻太刀拵
・菊造腰刀拵
・太刀 無銘(号北条太刀)
・三鱗紋兵庫鎖太刀拵(号北条太刀の拵)
・太刀 無銘(菊紋)(伝後鳥羽上皇御作)
・黒漆打刀拵(伝後鳥羽上皇御作の拵)
・太刀 國宗
・桐紋蒔絵糸巻太刀拵(國宗の拵)
・長刀 備州長船住元重(ウラ)建武五年三月日
・大笹穂槍 下坂孫次郎(ウラ)慶長拾六伏見三年在番之時長坂茶利九郎ウタスル也

 北条氏が三島大社に奉納したという『号北条太刀』は無銘の福岡一文字。菊紋の太刀は『菊作』、『菊御作』と謂われ、後鳥羽上皇の御作と伝わる。『備前三郎国宗』は新藤五国光の師、或いは父とも。
 もう一度、一階の刀剣コーナーと二階の『武士の装い』コーナーを見て廻り、このあとの予定のために早めに切り上げることにする。


 『刀剣博物館博』では現在、『古刀新刀名作展~豊かなる鉄の味わい~』が開催(平成22年6月29日~10月24日)されている。




・短刀 吉光
・短刀 貞興
・太刀 兼永
・短刀 来國次
・脇指 長谷部國信
・刀 (金象嵌銘)尻懸則長磨上之 本阿(花押)(光室)
・脇指 無銘(伝 正宗)
・短刀 兼友
・太刀 月山作
・刀 冬廣作
・太刀 真景
・太刀 信房作
・太刀 長光
・太刀 真長 (附)黒石地腰印籠刻青貝微塵塗鞘桐紋散金具半太刀拵
・刀 無銘(伝 近景)(金象嵌銘)笹之雪
・太刀 備州長船盛光(ウラ)応永十二年八月日
・短刀 清綱
・太刀 豊後國僧定秀作
・短刀 山城國西陣住人埋め忠明壽(花押)(ウラ)慶長拾七年八月日
・刀 國廣
・脇指 出羽大掾藤原國路(ウラ)寛永七年八月吉日
・脇指 津田越前守助廣(ウラ)延宝六年八月日
・短刀 繁慶
・刀 奥州仙䑓住國包(ウラ)寛文五年三月吉日
・刀 (一葉葵紋)主馬首一平安代
・刀 荘司筑前大掾大慶藤直胤(花押)(ウラ)文政四年五月日
・刀 豊永東虎左行秀 為嫡子幾馬(ウラ)明治三年二月吉日 行年五十八歳造之
・刀 津田近江守助直(ウラ)元禄二歳二月日 以地鉄颪造之
・脇指 長曽祢興里真鍛作
・刀 肥前國近江大掾藤原忠廣
・刀 長幸於摂津國作之(ウラ)以幡州完栗鋼鉄作之
・短刀 越前國康継 本多飛騨守所持内(ウラ)なんはんかね 三条こかぢ迫

・太刀 俊平 昭和五十五年十月廿二日 昭和五十三年度操業日刀保タタラ玉鋼試作刀
・脇指 以日立新玉鋼 宮入行平作 昭和五十二年正月

 何といっても『真景』が一番よかった。大好きな板目物なのだが、初めて見る名前だ。解説によると平安末期の伯耆鍛冶だという。『舞草』の太刀を見たとき以来の「グッと来る」感動である。本当に東京へ来てよかった。暑い思いをして代々木へ来てよかった…。
 前回の『鈴木嘉定コレクション』で見た覚えのあるものが数口あったのが気になったが、良いものは何度見てもいいのだ。
 もっと見ていたいところだが、もう一ヶ所廻らなければならないので、この場を後にすることにする。名残惜しいが、また今度改めて来よう。


 そして、最後の一ヶ所とは…靖國神社の『遊就館』である。以前から行ってみたいと思っていたのだが、要領が悪いために『東博』と『刀博』の二ヶ所を見る だけで精一杯で、『遊就館』まで行く余裕はなかった。『東博』か『刀博』のどちらかを諦めようとも思ったが、結局できなかった。 今日まで果たせずにい た。せっかく終戦記念日に上京するのだから、是非とも『遊就館』を拝観しようと思い立ったわけである。といっても目的は飽くまで刀なので、

 市ヶ谷駅を降りて、取りあえず大通りを進んだが、自信がない。「靖國神社→」とか案内が有っても良さそうなものだが、これが全くない。段々不安になって くるし、時間に余裕もないし、このまま歩き続けていいものかと考えていたら、左手に緑が見えた。神社に付きものの鎮守の森かなと思い、とりあえず其方へ向 かうが、ただの川沿いの緑地らしかった。しようがないので手前で右折し、両側を学校に挟まれた道をしばらく行くと、数人の警官が立っている。初めは事件か 事故かなとも思ったが、更に進むと数人の警官と機動隊バスを見つけ、靖國神社の警備だと気づく。右手が神社の敷地であるという確信を得るが、今度は入り口 がどこかわからない。前方に目をやると丁字路になっており、道路の前で塀が途切れて、路上に立番する警官とバリケードが見える。「ここを右に曲がったほう がいいような気がするが、立ち入り禁止かもしれないがどうしよう…」と迷っていると、普通に進入する一般人がいたので、ドキドキしながら右折する。すぐ先 には大きな門が見えるではないか。どうやら神社に到着したらしい。しかし、この門は北門らしく、直ぐ右手に『遊就館』が有ったので探す手間が省けた。結果 的オーライということか?結局、大通り(靖国通り)をあのまま真っ直ぐ進めばよかったのに、途中で左折したために靖国通りの真裏を迂回するハメになってし まったようだ。





 終戦記念日のためか、もう夕方の四時だというのに多くの参拝客が神社を訪れていた。





 かの『今井長賀』はここ遊就館の取締役だったことがあるそうで、また明治三十一年から五年間、遊就館で『剣話会』の講師として、別役成義と二氏で刀剣の 講話を行っていたそうだ。講話の内容は速記録を基に『剣話録』として刊行され、後に『今村別役刀剣講話(辻本直男監修)』が改めて発行されている。

 『遊就館』の玄関ホールは沢山の人で賑わっていた。戦闘機や機関車が展示されているのには驚いたが、先ずは受付を済ませ、エスカレーターで二階へ上がる。
 展示室1『武人のこころ』では元帥刀が見事にショウアップされている。

・太刀 笠間繁継(元帥刀)

 元帥刀というと西洋風のサーベルのような軍刀を連想してしまうが、展示されていたのは純然たる日本刀と大昔の衛府の太刀を思わせる姿の拵であった。た だ、刀身は一般的な鋒造ではなく諸刃鋒造で、拵は毛抜形太刀。柄は毛抜形の目貫が据えられており、中子共々も毛抜形に刳り抜かれているわけではない。正 直、軍刀には全く興味がないのだが、眼前にある元帥刀には心惹かれてしまった。特に地板の色合いが印象的だった。それにしても、刀身の形状を諸刃鋒造にし たのは何故なのだろうか?かつて大将軍の絶対的な権限の象徴として、出征する将軍や遣唐使へ節刀を授与していたが、元帥刀はそれに習ったものだろうか。元 帥刀は「国家・国民守護の象徴」として元帥府の大将に下賜されたそうだ。『笠間繁継』は『水心子正秀』の門人『中山一貫斉義弘』の系統で、『繁寿』の弟子 で『宮入昭平』の師だそうだ。

 次は展示室2『日本の武の歴史』。刀剣や甲冑など、戦前の武具が時代を追って陳列されている。勿論、目当ての刀剣類はこの展示室にあるのだ。

・太刀 帝室技藝員月山貞一八十一歳謹作
・太刀 國継
・脇指 無銘(包丁正宗)
・刀 (金象嵌銘)青江
・刀 村正
・大太刀 備州長船盛光
・大太刀 九州筑前住源信國助左衛門尉吉包(ウラ)寛文十二年八月吉日
・槍 水心子正次作
・長巻 九州筑前住人源信國平四郎作
・脇指 越前國康継作
・刀 陸奥守大道
・刀 肥前國忠吉
・刀 民龍子壽實(ウラ)文化八年八月日
・脇指 次郎太郎直勝(ウラ)天保四年十二月日
・脇指 水心子正秀(花押)(ウラ)寛政九年八月日
・靖國刀 靖光謹作
・靖國刀 (金象嵌銘)靖光謹作(ウラ)昭和十二年九月吉日靖國神社第七代宮司大野俊康所持平成八年十二月八日識

・毛抜形太刀(模造 宮口正房製作)

 
 『国継』の名を今日初めて知ったが、古刀期に大和や備前に五人の同名鍛冶がいたようだ。
 『包丁正宗』は大味というか、これといって見るべき所が無く少々ガッカリした。全体的に鈍い銀色で、彫り物がなんだか道教の札の様な印象を与える。

 その後、日本の戦争の歴史を展示物と共に順に追っていく。一階に下りると英霊の写真や遺品が多く展示されており、それを見るのがとても辛かった。失礼とは思いながらも、閉館時間が迫っていたので、駆け足で館内を一通り見学して歩いた。




 そろそろ時間なので、南門を出て靖国通り通って帰る。

 
 翌日、真景のことを調べようと思ったが、図版どころか名前すら見あたらなかった。十月には国立博物館の刀剣コーナーが入れ替えられるようなので、その時にもう一度真景を見に刀剣博物館へ行きたいと思う。
 スマートフォン欲しい…。

2010年7月18日日曜日

夏の観音山

 本日は一関へ。

 先ずは久しぶりに厳美渓へ。岩手・宮城内陸地震の後に訪れて以来だ。




 次は一関市博物館へ。

・太刀 舞草
・太刀 友安
・脇指 寶壽(ウラ)貞治三年八月日
・脇指 寶壽
・刀 無銘(月山)
・太刀 山城大掾藤原國包
・刀 應沼田延道需文久元辛酉春 鍛之一関士源宗明
・刀 之一関士源宗明作應 藩士文之助森君需(ウラ)文久二年八月吉日 あらえみしたちもきらすハ武士のさけはくものの名をいかにせん
・脇指 明弘
・剣 無銘
・小太刀 無銘(藤島友重)
・刀 備州長船祐定(ウラ)天正二年八月日
・脇指 肥前國住藤原忠廣
・脇指 對馬守橘常光

 いつもは四方のケースの内、一方に刀と全く関わりのない物が展示されているのだが、今日は四方全てが刀で埋め尽くされていた。展示スペースの都合など 色々事情があるのだろうが、『舞草と刀剣』のコーナーなのだから、できれば刀剣や儛草に関わるもので統一していただきたい。


 定番になりつつなるが、博物館の次は儛草神社へ。そういえば、夏の観音山初めてである。



夏に訪れて、ようやく『あじさい東参道』の由来を知ることが出来た


黄金色もいいが、青々とした水田も美しい


 遺跡を一通り巡廻したかったが、草深く何処をどう進んでいいのか全くわからず、奥へ踏み入るのを断念した。参道へ戻る頃には蜘蛛の糸が貼り付き、腕には山蛭が這っていた。

2010年6月27日日曜日

登米市歴史博物館『刀の拵~華麗なる刀剣外装の美~』


 『登米市歴史博物館』で開催中の『刀の拵』を見に行く。

  昨日、塩釜神社博物館内で『刀の拵』のという企画展の案内を見かけたのだが、帰りの車中で行こうかどうしようか少々迷っていた。なぜ迷ったかというと、拵 の展示が中心で恐らく刀身は期待できないだろうし、道の下調べが面倒だからである。しかし、折角の県内で見られる刀剣関係の展示会なので、塩竈神社博物館で揚がったテンションそのままに企画展へ出かけることにした。 
 帰宅してから調べてみたところ、企画展『刀の拵~華麗なる刀剣外装の美~』は、『登米市歴史博物館』の開館10周年記念展なのだそうだ。よく見ると、日刀保の宮城県支部が共同主催のようで、期待が高まる。




受付で入場料を払おうとしたら、思いがけず帳面への記帳を促された。なんだか仰々しいなとも思ったが、その代わり入場料は無料だった。
 企画展の展示室は、受付の直ぐ隣なので早速見学開始。

・青貝塗千鳥貝散鞘大小拵
・朱塗藍鮫皮包鞘打刀拵
・紫貝塗込鞘脇指拵
・孔雀石研出鞘打刀拵
・茶漆斜刷毛目塗青貝部分微塵散打刀拵
・梅花皮鮫黒研出鞘打刀拵
・変塗鞘脇指拵
・黒呂色塗蒔絵鞘打刀拵
・朱変塗菊紋金蒔絵鞘打刀拵
・朱黒漆片身替鞘打刀拵
・青貝微塵黒蛭巻鞘打刀拵
・麻糸巻朱漆黒卯殻微塵塗蛭巻鞘打刀拵
・青貝微塵散金切金塗込鞘脇指拵
・金粉平目地刷毛目模様塗鞘打刀拵
・藍鮫砂出黒漆卍紋塗鞘脇指拵
・黒漆塗九曜紋鞘半太刀拵
・黒塗藍鮫皮包二分刻鞘打刀拵
・尻鞘
・金梨子地桐葵紋散蒔絵糸巻太刀拵
・黒漆塗葵紋散蒔絵太刀拵
・金梨子地樋樫木唐草竹雀巴紋蒔絵鞘細太刀拵
・黒漆研出鮫皮包鞘大小拵
・赤茶漆塗鞘大小拵
・梅花皮鮫黒研出鞘大小拵
・棕櫚塗込鞘大小拵
・孔雀石研出鞘大小拵
・青貝微塵散金粉変塗鞘大小拵
・青貝微塵変塗鞘大小拵
・黒呂色塗刻鞘大小拵
・黒石目地鞘大小拵
・片身替黒漆鶴足皮包金粉平目地鞘打刀拵

 展示室の四方の壁面ケースに大量の拵が、中央の覗き型ケースには小道具類が展示されていた。やはり刀剣の展示は無かったが、ご存じ『稲荷山小鍛治』の作者尾形月耕の『夜討曽我』が飾られていた。
 解説が無かったので製作時期など詳しいことはわからなかったが、拵の名称は色や模様、材質、形状などを特徴をそのまま表しているので、どの言葉がどの部分を指しているのか考えるだけでも面白い。


 企画展示室の隣の部屋(常設展示室)も念のため覗いてみると、大太刀が展示されていた。

・大太刀 八幡宮 奉献上 藤原春康 元禄四年辛未年八月十五日 敬白

 作者銘が無いので誰の製作かわからないが、登米近辺に住した刀鍛冶の手によるものなのだろうか。『仙台藩刀匠銘譜』の仙台藩刀匠譜略によると、享保頃に 栗原郡高清水住の伝四郎正利という鍛冶がいたそうだ。彼は出羽国の善兵衛の弟子だったが、世継相続を許されず、野鍛冶になったという。野鍛冶は槍を作るこ ともあったというし、一応、刀鍛冶の元で修行した経験を見込んで大太刀の製作を依頼したという可能性はないだろうか?


 今回の企画展は博物館の開館10周年記念展ということだが、次は20周年記念になるのだろうか。できれば記念展に拘らず、日刀保宮城県支部の企画展をどんどん開催していただきたい。


 『石ノ森章太郎ふるさと記念館』へも行ってみたかったが、丁度良い時間なので今日はこのまま帰ることにした。時間があれば『登米懐古館』へ寄ってみてもよかったな。

2010年6月26日土曜日

塩竈神社博物館

 初詣以来、半年ぶりの『塩竈神社博物館』。

 前回は『新春特別展 仙台の刀工安倫』が開催されていたので、正月早々沢山の刀剣を見ることが出来た。しかし、今日は特に特別展が催されているわけではないので、「来国光か雲生が見られればいいや」と期待せずに塩竈神社へ向かう。
 博物館へ入館すると受付に誰も居なかったので、そのうち誰か来るだろうとしばらく入口で待つことにした。何気なくいつも刀剣類が展示されている辺りに目 をやると、通常より広めに展示スペースがとられていることに気付いた。否応にも期待が高まる。暫くすると学芸員が見えられたので、受付を済ませ目当ての コーナーへ真っ先に向かう。見学を始める前に、刀剣類が展示スペースがどれくらいか気になったので、入り口から死角になって見えない奥のスペースを見やる と、そこも殆ど刀剣で占められていた。正月の特別展とほぼ同じ展示面積である。

・太刀 来國光
・刀 (菊紋)一 奉納造鹽竈大明神 神釖一腰 同所住御硑高橋善助磨是 寛文四年七月十日
    (裏)奥州仙臺住田代摂津守藤原永重作 弟子重則重清
・太刀 重勝
・太刀 (菊紋)一 永茂
・太刀 永茂
・太刀 田代秀太郎藤原長俊造之(裏)天保十三年八月日
・刀 仙臺住白龍子永繁(裏)明治元年十二月日
・太刀 藤原國包
・太刀 藤原國包作
・太刀 包吉
・太刀 兼次
・太刀 包蔵
・太刀 國次
・脇指 奉献納寶剣一振 塩竈大明神御廣前(裏)奥刕仙䑓住家定 元禄七年五月廿一日以南蛮鉄鍛之
・剣 奉納寶剣一振 家定 塩竈大明神御廣前(裏)元禄九年二月吉日 仙䑓住福田助左衛門
・太刀 家定
・太刀 家定
・太刀 安倫
・太刀 安倫
・太刀 安倫
・脇指 奉納鹽竈宮大明神御寶前 武江城下之住 山野氏久英
 (裏)本國常陸住人至半佰 肥後守橘吉次作之 於武列江戸鍛冶士精盡
・刀 月山金利

 いつもの入館料200円でこの刀剣数はかなりのお得感がある。大満足である。もしかして前回、学芸員の方に刀剣類のスペースを増やして欲しいと要望したのが聞き届けられたのであろうか。その代わり、急に2~5月の展示内容が気になってしまった…。
 館内で『刀の拵』という企画展の案内が目に入った。場所は『登米市歴史博物館』。拵が中心で刀身は展示されてなさそうだが、面白そうなので明日行ってみようか…?

2010年5月5日水曜日

東京国立博物館&刀剣博物館

 Uターンラッシュの落ち着いた頃を見はからい東京へ博物館見学へ。

 折角眠い思いをして朝早く家を出ても、上野に着いてから駐車場探しに手間取る。このタイムロスが今後の課題。




 先ずは『東京国立博物館』、一階の『刀剣』コーナーから。

・直刀 無銘(号 水龍剣) 附)宝剣拵
・太刀 宗近村上
・太刀 國俊(ウラ)弘安元年十二月日
・太刀 大和則長作
・太刀 助則
・小太刀 長光(名物 蜂屋長光)
・短刀 國光
・刀 無銘(名物 石田正宗)
・太刀 兼氏
・刀 勢州桑名住村正
・刀 大隅掾藤原正弘(ウラ)慶長十一年三月吉日
・刀 長曽祢虎徹入道興里(ウラ)(金象嵌銘)四胴 山野加右衛門六十六歳ニテ截断 永久(花押) 于時寛文五年二月廿五日

 『号 水龍剣』は切刃造の直刀で、元正倉院御剣。『宗近村上』は三条近村の『近村上(たてまつる)』の銘に宗の字を足したものだという。『国俊』は、『二字国 俊』と『来国俊』別人・同人説がある。尻懸派の祖則弘の子『則長』、大一文字助宗の子小一文字『助則』、『名物 蜂屋長光』は奥平美作守所持で、『長光』も別人説「初代長光は光忠の子で、法名順慶、左近将監長光は順慶の子」と同人説「左近将監長光が老後入道して順慶 と号した」があるという。新藤五『国光』、名物『石田正宗』は政宗公が所有していたが『日向有馬修理』へ売り、それが池田長吉の手に渡り、後に徳川秀忠、 尾張徳川家へ伝来。志津三郎『兼氏』、千子『村正』、国広の子(甥とも)『正弘』、『長曽祢虎徹入道興里』の截断銘は試し斬りの名人『山野加右衛門永久』 によるもの。


 次は二階の『武士の装い―平安~江戸』コーナー。

・牡丹造兵庫鎖太刀拵
・黒檀地花鳥蒔絵脇指拵(金具 後藤一乗、螺鈿 中野一跡)
・短刀 行光
・瑞雲文蒔絵合口拵(短刀 行光の拵)
・刀 無銘(元重)
・朱漆打刀拵(刀 無銘 元重の拵)
・太刀 吉包
・梨地葵紋蒔絵糸巻太刀拵(太刀 吉包の拵)
・薙刀 備州長船住盛景 至徳三年六月日
・十文字槍 兼常

 正宗の父ともいわれる相州『藤三郎行光』、守重の子長船『元重』、永包の子古備前『吉包』、大宮盛次の子長船『盛景』、関『兼常』。

 次は『刀剣博物館』。上野からの移動で結局、一時間ほどかかってしまう。これが結構痛い…。




 『刀剣博物館』では『鈴木嘉定コレクション寄贈品展』が開催中(平成22年3月30日~5月9日)。

・短刀 貞興
・刀 (金象嵌銘)尻懸則長磨上之 本阿(花押)(光室)  附)天和参年本阿弥光常折紙
・太刀 □(州)長船住元重
・刀 無銘(伝青江吉次)  附)享保参年本阿弥光忠折紙
・太刀 豊後國僧定秀作
・太刀 備州長船盛光(ウラ)応永十二年八月日
・刀 兼元
・脇指 羽州住人月山近則(ウラ)永正九年二月吉日
・脇指 長谷部國重
・刀 無銘(兼光)  附)寛永廿年本阿弥光温折紙
・太刀 備州長船師光(ウラ)永和二年六月(以下切)
・刀 備前國住長船五郎左衛門尉清光(ウラ)天文廿四年八月吉日
・刀 (金象嵌銘)延寿國時 貳ツ胴截断
・短刀 國資
・刀 藤原廣實
・薙刀 越中守正俊
・脇指 相模守藤原政常
・短刀 繁慶
・刀 於南紀重國造之
・刀 肥前國住人伊予掾宗次
・刀 無銘(当麻)(金象嵌銘)恐
・刀 (一葉葵紋)主馬首一平安代
・短刀 源秀寿(ウラ)天保五年仲冬 為濤斎主人作之
・刀 豊永東虎左行秀為嫡子幾馬(ウラ)明治三年二月吉日 行年五十八歳造之
・短刀 近江大掾藤原忠廣

・太刀 傘笠両山子正峯作之 庚申年霜月日(ウラ)以日刀保多多羅胴下作之
・脇指 以日立新玉鋼 宮入行平作(ウラ)昭和五十二年正月
・短刀 太阿月山源貞一作(花押)(ウラ)昭和五十二年十月吉日
・脇指 太阿月山源貞一作(花押)(ウラ)日刀保たたら炉以初玉鋼試作之 (棟)昭和五十三年二月吉日
・大身槍 謹呈鈴木嘉定先生 刀剣博物館竣工記念 加賀國住人隅谷正峯(ウラ)昭和丁未霜月吉日 迫日本号 寒山(花押)
 (彫銘)苔口仙琇彫之(金象嵌・花押)

・黒塗織田木瓜紋蒔絵薙刀拵(薙刀 越中守正俊の拵)
・朱塗鞘薙刀拵(長刀 出羽大掾国路の拵)
・朱塗一分刻鞘小さ刀拵(短刀 繁慶の拵)
・茶石目地塗腰金沃懸鞘葵紋金具大小拵 附)刀身 忠吉・兼則
・藍鮫鞘九曜紋金具肥後打刀拵(小林隆忠一作金具) 縁・鐔(銘)小林隆忠(花押)
・金海老茶砂子塗鞘楽寿金具肥後打刀拵
・黒鑞色氷割文螺鈿鞘大小拵
・脇指 備前介宗次作之(ウラ)弘化三年八月日 贈一乗法橋 附)桜皮笛巻塗鞘腰刀拵(後藤一乗一作金具)
・金沃懸地菊紋唐草蒔絵鞘糸巻太刀拵(太刀 僧定秀の拵)
・変り塗腰朱刻鞘肥後打刀拵(刀 孫六兼元の拵)
・青貝螺鈿鞘柄桐違い鷹の羽紋散金具大身槍拵(大身槍 隅谷正峯の拵)

 無銘当麻の金象嵌銘『恐』とは桃山時代のことだそうだ。

2010年2月14日日曜日

『光芒の再生 赤羽刀のきらめき』

 一関市博物館で開催中の企画展『光芒の再生 赤羽刀のきらめき』を見に行く。


 昨日、一関市博物館のサイトを何気なく見たら、『光芒の再生 -赤羽刀のきらめき-』という企画展が開催されていることを知る。文化庁との共催ということで、貴重な刀剣が見られそう。


 博物館の正面入り口前にある、企画展の案内を見て驚いてしまった。なんと今日が最終日ではないか。企画展は二ヶ月ほど前から始まっていたというのに、昨日まで全く気付かず危うく見逃すところだったのだ。
 先ずはいつも通り、『儛草刀と刀剣』コーナーへ。

・太刀 正恒
・太刀 寶壽
・脇指 寶壽(ウラ)貞治三年八月日
・脇指 寶壽
・脇指 寶壽
・刀 月山
・刀 無銘(月山)
・刀 月山正信作
・太刀 月山定吉作二月十一日
・刀 軍勝作
・長刀 出羽國之住人月山近則(ウラ)永正二年二月日
・剣 山城大掾藤原國包 寛永十八年七月吉日(ウラ)山城子源二郎國包 (樋銘)奉寄進松島山王明神寶殿(ウラ)住持雲居叟希膺代
・脇指 奥州仙䑓住藤原國包(ウラ)慶安五年二月吉日
・刀 山城守藤原國包
・刀 安倫(ウラ)宝永ニ乙酉歳六月二十五日
・刀 一関士源宗明作(ウラ)應西尾守房需
・十文字槍 一関士宗明

 思いがけず、念願の正恒を初めて見ることが出来た。思えば初めて一関市博物館に来たとき、当たり前のように正恒と国包が見られるものと勝手に思い込んで いたので、展示されていないことにガッカリしてしまった。いつ見られるのかと受付で問い合わせたが、その時は明確な回答は得られなかった。国包は後に見る ことができたが正恒は叶わず、半ば諦め仕舞いには一関市博物館に所蔵されていることも忘れてしまっていた。それを今回は特別出品ということで、遂に目にす ることが出来た。
 正恒もそうだが、宝寿4口、月山4口、國包3口と企画展を意識してか、随分力の入った展示内容だった。正恒を除いては、全て奥州刀で統一するという凝っ た展示内容だ。正恒は古備前の刀工であるが、父の有正は儛草鍛冶だという説があり、本当ならば正恒も奥州鍛冶と無縁ではない。
 初代国包と孫(三代目)の合作の剣、二代国包の脇指、安倫の三口は仙台市博物館から貸し出しだそうだ。所蔵している仙台市博物館でも見たことがないの に。他所へ貸し出しするのは結構なことだが、所蔵元で見られないというの残念なことだ。色々事情があるのだろうけど。聞くところによると、仙台市博物館に は刀剣に明るい女性学芸員がいたが、現在他所で修行中なのだとか。修行が終わって仙台市博物館に戻ってくると、なんとナンバー2の地位が待ってるという。 もしそうなれば、刀剣の展示に期待ができるようになるのではないだろうか…?いや、あくまで風の噂と私の妄想です。


 テーマ展示だけでも充分楽しめたが、次はいよいよ企画展示室へ。

・短刀 國光
・太刀 定利
・太刀 宗忠
・太刀 則房
・太刀 備前國長船住長元作
・太刀 (朱銘)青江長次(ウラ)光遜(花押)
・小太刀 無銘(藤島友重)
・刀 備州長船祐定(ウラ)天正二年八月日
・刀 相州住廣次作(ウラ)永正元年八月日
・刀 落陽住信濃守國廣
・脇指 丹波守吉道
・長刀 越中守正俊
・刀 於南紀重國造之
・刀 (葵紋)以南蠻鐵於武州江戸越前康継(ウラ)江陽素産高田亀助
・脇指 (葵紋)康継於越前作之
・刀 大和守安定
・刀 長曽祢興正
・刀 近江守高木住助直作(ウラ)延寶五年三月日
・刀 井上真改(ウラ)延寶六年八月日
・脇指 陸奥守包保
・脇指 肥前國住藤原忠廣
・脇指 武蔵大掾藤原是一
・脇指 對馬守橘常光
・短刀 兼常
・脇指 源清麿
・刀 備前介藤原宗次(ウラ)慶応元年五月日


 気になったのは幾つかの刀の中心に、白いものが付着していたことだ。恐らくペンキか何かでナンバリングしたのではないだろうか。そんなところからも、刀のぞんざいな扱いが窺い知れる。どうも赤羽刀のことを考えると、憎悪が込み上げてくるのを禁じ得ない。

 まさか刀剣博物館とほぼ同じ展示量があるとは思ってもみなかった。できれば日を改めてもう一度来たかった。