2008年9月15日月曜日

塩竃神社博物館の糸巻太刀拵

 何か初見の刀があればいいなと、久々に塩竃神社博物館へ。
 
 
 あまり期待しないで行ったのだが、残念ながら初見のものはなく、刀剣の展示数も少なかった。正月の『雙龍子玉英 特別展』と比べてしまうと、どうしても物足りなさを感じる。その代わりに博物館の目玉である『来国光』と『雲生』の二口、『糸巻太刀拵』のコーナーを穴が あくほど見ることにする。

・太刀  来國光 83 3.5
・太刀  雲生 92.1 3.5
・刀 (菊紋)一 奉納造鹽竈大明神 神釖一腰 同所住御硑高橋善助磨是 寛文四年七月十日
   (ウラ)奥州仙臺住田代摂津守藤原永重作 弟子重則重清
・太刀 家定 71 2.24
・太刀 國包(ウラ)天保十三歳八月日 69.7 2.1 (十二代 源兵衛)
・脇指 重勝 51 1.1
・刀 包幸 75.8 1.7
・剣 奉納寶剣一振 家定 塩竈大明神御廣前(ウラ)元禄九年二月吉日 仙䑓住福田助左衛門 24.2
・短刀 田代永繁 21

 屏風や掛け軸が幅をきかせており、「それだけあれば三~四口の刀が展示できるな」という位のスペースを独占していた。大太刀も初め見たときはインパクトがあったが、鍛えなど見所がないので何度か見ると飽きてしまう…。

 今までは展示されていても、それほど熱心に見ることの無かった『糸巻太刀拵』を、今日は一生懸命に見学してきた。以前は刀身に比べると勉強不足のせいも あってか、外装への関心が薄く、小道具に関しては興味が殆ど無かった。それが室町時代の『文透図鍔』に一目惚れしてから鍔が好きになり、明智左馬介の差料 と伝える『明智拵(変り塗打刀拵)』を知ってから漸く拵について勉強するようになった。
 展示されていたのは糸巻太刀拵が二腰、鍔が三枚でそれぞれ職人による作品の出来の違いを比べられて面白い。
 拵は兜金、縁、鍔、足金物、責金物、石突金物とそれぞれ赤銅魚子地に菊紋があしらわれていて非常にエレガント。特に鞘は金梨子地塗で赤銅魚子地と菊紋が アクセントとなり、色彩の対比が鮮やか。それにしても佩緒の太刀結びは一体どうなっているのか見当もつかない。柄は朴の木地に錦の布を巻き、その上に紺の 柄糸を巻いている。渡巻も同色。鍔は糸巻太刀拵の定番『葵形』。私は丸形のシンプルな鍔が好きなのだが、この葵形の鍔も素敵だと思った。鍔は三枚の他に 『鍔、切羽、大切羽一式』としてもう一枚有り、それぞれが分解された状態で並べられていた。金と赤銅の切羽、大切羽の計八枚で鍔を挟むそうだ。
 
 刀の他に具足が二具展示されており、メインは四代藩主綱村公所用の『紺絲素懸威五枚胴具足』なのだろうが、私は伊達家宿老、遠藤玄信所用の『切付小札紺 絲毛引威二枚胴具足』の方が好みだ。どうやら私の中で紺糸ブームが始まったようだ。半歩身体を引いてガラスに顔を映し、兜に顔の位置を合わせ、鎧を疑似装 着してみる。一度でいいから具足を身に纏い太刀を佩いてみたいものだ。果たして巧く刀を扱えるだろうか。具足は20センチ程の重さがあるというから動くだ けでも大変そうだし、刀を振りかぶろうとして、鍔が兜の前立に当たってしまうかもしれない…。それ以前に巧く太刀を抜けるだろうか…。

0 件のコメント:

コメントを投稿